2023年3月10日金曜日

東京新聞は時々おかしな記事を書く――カラス生食をめぐって

比較的安価で、「こちら特報部」や昨今の「PFAS水質汚染」報道に定評があり私自身も気に入っている『東京新聞』(中日新聞東京本社発行)であるが、この新聞は時折おかしな記事を書く。例えば、イノハナご飯放射能汚染の全面特集記事が月に何度かあるが、もうネタ切れに陥っているのか知らないが「塩で脱セシウム イノハナご飯」だとか根拠に乏しいようなネタを平気で紙面に掲載してくる。

2023年3月7日、「<突撃イバラキ>カラス肉の生食文化 究極のジビエに挑戦」(アーカイブ)と題して、宮尾幹成記者がカラスの刺身を食べに行くというレポートが掲載された。これは恐らく茨城地方版の記事で、私の手元にある紙面では確認できなかった。

「カラスの刺し身を食べに来ませんか?」。取材で知り合った男性から誘われ、のけ反った。県内の一部地域に伝わる食文化とのことだが、水戸支局在勤四年目にして初めて聞いた。ジビエ(野生鳥獣肉)料理は嫌いでないし、実はカラスも焼き鳥ならぬ「焼き烏(からす)」なら試したことはあるのだが、生食となると話は別。悩んだ末、「やめた方がいいんじゃないか…」と心配する上司をよそに、好奇心が勝って行ってみることにした。さて、お味の方は−。

カラスを振舞ったご主人は匿名だが、こののレポートは署名記事だ。肝が据わっている。

基本的には、煮て食おうが焼いて食おうが自由とのこと。だが生食については、生活衛生課の担当者から「食中毒のリスクはかなりある。禁止されているわけではないが、控えてほしい」とくぎを刺された。

とあるように、県の担当者からは警告されているわけだが、 地方面は編集に携わる者が少ないのだろう。この記事は朝に配信されたがその日の夕方には厚労省が注意を促すツイートをしている。

「ジビエ」という言葉は市民権を獲得しつつあるが、報道機関がこうした誤情報を発信してしまっては台無しである。万が一、読者がE型肝炎になったら誰が責任を取るのか、新聞の役割が問われている――。正直なところ、私もカラスを刺身で食べてみたい。 (穴開きズム研究会=みのる)

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