2022年9月23日金曜日

【リヒテンシュタイン国民投票】コロナ政策の行方は?

ファドゥーツ城。官邸として
現在も使用されている。
2022年9月18日、人口40000人ほどのリヒテンシュタイン公国(首都ファドゥーツ)で国民投票が行われた。隣国スイスのようにこの国では重要法案の採決は国民投票が採用される。これは直接民主制(レファレンダム)の名残りであるといえよう。
リヒテンシュタイン政府は2021年9月から新型コロナウイルスの政策として3Gルール(Getestete, Geimpfte, Genesene, 英語ではTested, Vaccinated, Recovered)を導入し、感染者増加を防いでいた。英語から訳すと「検査済み、ワクチン接種済み、回復済み」となる。要するに、これらの条件を満たしていればイベント参加などが自由に出来るというもの。

2022年1月には、ワクチン接種に反対する市民などが裁判所に苦情を申し立て、5月10日に裁判所はこの政策に法的根拠は無いと判断を下した。

新党「Mensch im Mittelpunkt (MiM)」は7月末までに3572筆の反対署名を集め、これを有効と認めた政府は9月18日に請願による国民投票を行うと発表した(官報)。

結果は、法案に賛成が6,366票(47.3%)、反対が7,101票(52.7%)で否決となった。

ワクチンパスポートといえば日本でも議論になっている。先日、世界保健機関のテドロス・アダノム事務局長が「パンデミックは終わりが視野に入っている」と発言し話題となったが、世界的流行の終焉が近づく中で人間とウイルスがいかに共存していくべきか、日本でも議論が加速するだろう。

基礎情報

  • リヒテンシュタイン公国(Principality of Liechtenstein)は、スイスとオーストリアの国境沿いにある立憲君主制国家。1719年神聖ローマ皇帝が二つの公領を併合してリヒテンシュタイン家に与えたのが現在の公国の始まりで,神聖ローマ帝国の一員であった。1806年の帝国崩壊後,ナポレオンの保護下ライン同盟に参加し,1815年からはドイツ連邦に加わった。ドイツ連邦が解体した1866年独立し,翌年永世中立を宣言した。スイスに外交を委任し,郵便・電信などもスイスが代行している。1990年国連に加盟,2004年5月EUに加盟した(コトバンク)。
  • レファレンダム(referendum)は、 憲法改正や法律の制定など重大な事項を定めるに際して、直接に国民投票によって賛否を求める制度。直接民主制の一形態で、日本では、憲法改正の際の国民投票や、地方自治特別法についての住民投票がこれに当たる(コトバンク)。

参考





2022年9月20日火曜日

「天皇・国王序列デマ」に皮肉めいた資料を送りつける准教授

 「エンペラーを名乗るのは天皇だけ。天皇は世界のトップに君臨する」というデマは今やネット右翼の常套句となっている。私も一時期これを信じていたことがあったが、戴冠式といった各国の王族が集まる際の写真を見ればそれが誤りだということもわかるだろう。現代では、国家元首は在位数順に序列が決まると考えてよい。つまり、「王」「天皇」といった呼称は関係ないのである。しかしながら天皇が世界にトップに君臨するという情報は右翼的な者たちにとってあまりにも都合がいい話であるから、これは右翼の中でも伝統あるデマとして平成よりも昔から継承されているのではないだろうか。

先日、英国のエリザベス2世が崩御され、その国葬の報道が注目された。その中でやはり話題に上がったのがこの序列の問題である。

1.皇帝(Emperor)

2.法王(Pope)

3.国王(King)、女王(Queen)

4.大統領(President)

5.首相(Premier)

これが世界的な権威の序列で、1の天皇陛下が行くと言っているのに5の首相が行くのは場違い ――サリエリキキ(@tX288CoEYej0KRf

 これは岸田首相が女王の国葬参列を見送ったというニュースへのコメントだ。このツイートは2500リツイート、5000いいねと拡散されたが引用リツイートを見ると嘲笑した者も多いようだ。そんな中で、秀逸な返信を見つけた。

寺沢拓敬准教授の投稿した画像

これは関西学院大学社会学部准教授の寺沢拓敬氏とみられるアカウントによるもの。「ハーバー大大学」で違和感を感じると思うが、下層を見ると「スタイリスト」などデタラメな資料であることが分かる。少しでも良識があればこれを見てニヤッとして"分かる人"のいたずらであると察することが出来ると思うが、元ツイートの投稿主は、この返信に対して「資料ありがとうございます」(リンク)と真に受けてしまっているのである。Covid-19やワクチンの誤情報もそうだがデマの根源にはこうした教育水準というものも関係しているのではないかとも考えられる。





プラスアルファ

序列の話を補足すると、現代では「国家元首>首相」というものが常識といえるだろう。国家元首は国家の長でああり、首相は政府の長である。天皇だろうが、リヒテンシュタイン大綱であろうが、オ・レ・アオ・オレ・マーローであろうがそれは単なる呼称が異なるだけであり、現代ではすべて「国家元首」として一括りされる。

寺沢拓敬

てらさわ たくのり。関西学院大学社会学部准教授、専門は英語教育政策、言語社会学、教育社会学。2004年旧・東京都立大学人文学部卒業、2013年東京大学総合文化研究科多淫に取得満期退学。博士(学術)(東京大学、課程博士らしい)――関西学院大学研究者詳細ページより


 


 

正しい判断 1.皇帝(Emperor) 2.法王(Pope) 3.国王(King)、女王(Queen) 4.大統領(President) 5.首相(Premier) これが世界的な権威の序列で、1の天皇陛下が行くと言っているのに5の首相が行くのは場違い

イラン人女性、ヒジャブの不適切着用が原因で警察が殺害か

Persian Girl
ヒシャブの例

 2022年9月19日、イランのマーサ・アミ二(マサ・アミニ, Mahsa Amini, 2000年生)さんが22歳という若さで亡くなった。

マーサ・アミ二さんはイスラム圏の女性が着用するヒシャブというスカーフの着用が適切でなかったとしてイランの道徳警察に逮捕された。警官に殴打され昏睡状態となり死亡に至ったという。

彼女の葬儀では大規模な抗議運動が行われたという情報もある(下記ツイート)。

国際人権団体などが声明を発表しており今後の動向に注目していきたい。

 関連記事



2022年9月19日月曜日

サモアのオ・レ・アオ・オ・レ・マーローが再選

ラジオニュージーランドによると2022年8月、サモアの国家元首「オ・レ・アオ・オ・レ・マーロー」にトゥイマレアリイファノ・ヴァアレトア・スアラウヴィ2世(TUIMALEALI’IFANO Va'aletoa Sualauvi II, 1947年生)が再選した。
サモアの国家元首トゥイマレアリッイファノ・ヴァアレトア・スアラウヴィ2世の写真
2018年の写真
(パブリックドメイン)

国家元首の名称には「天皇」「王」「大統領」といったものがよく用いられるがサモアでは慣例的にサモア語による固有名詞オ・レ・アオ・オ・レ・マーローO le Ao o le Mālō)を使用している。

サモアの国家元首は世襲ではなく選挙制が採用されている。しかしながら、候補となる者には大首長(大酋長)と呼ばれる有力者(伝統的指導者)から選出されるのが不文律となっているようだ。任期は5年で再選可能である。

南太平洋の島国と聞くとのどかなイメージを持たれる方も多いと思うが、2021年のサモア政界は政治史にも残るであろうほどの混沌ぶりであった。総選挙の結果を巡って与野党両陣営が勝利を宣言し二重政府状態が続いいたのだ。議長は鍵を持ったまま失踪し、最終的には裁判所で決着が付いたとのこと。これには、英国式の法律とサモアの慣習法をごちゃ混ぜにした複雑な司法体系が原因の一つとして考えられるではないだろうか。

2021年の危機は何とか乗り越えたが、伝統的慣習をいかに改革してゆくのか、今後の国づくりに求められるだろう。

サモアの基礎情報

南太平洋、ポリネシア西端に浮かぶ人口20万人ほどの島国。1899年にドイツ帝国が西サモア、アメリカが東サモアを領有。西サモアは本記事で扱う「サモア独立国」で、東サモアは現在の「米領サモア準州」である。ニュージーランドによる委任統治を経て、1962年に独立。現在はイギリス連邦に加盟している。サモアは軍事組織を保有しておらず、有事の際は友好条約に基づきニュージーランドが支援する。






2022年9月18日日曜日

Bloggerサ終におびえながら

穴開きズム研究会のホームページをいつか作ろうかと、様々なブログサービスやnoteを当たったが何となくbloggerに落ち着いた。